厚生労働省は27日、公的年金の長期見通しを示す財政検証結果を公表した。現役世代の平均手取り収入に対する年金受給額の割合、いわゆる給付水準(所得代替率)は、経済が成長し労働参加が進む標準的なケースだと、令和29(2047)年度に50・8%で下げ止まり、政府が約束する50%以上を維持するとの結果が出た。現在より2割近く目減りするが、制度の持続性は確認された。低成長の場合は50%を割り込む。
財政検証は5年に1回行っており、今回で3回目。40年間厚生年金に加入した平均的な収入の会社員の夫と専業主婦の妻をモデル世帯とし、夫婦合計での受給水準を示している。モデル世帯の元年度の厚生年金と基礎年金の合計額は月22万円で、現役世代の平均手取り収入は35万7千円。代替率は61・7%となった。
代替率が、年金の伸びを物価や賃金の伸びより低くする給付抑制策「マクロ経済スライド」を発動することで、どの程度変化するかを、実質経済成長率(11年度以降)が0・9%からマイナス0・5%までを6ケースに分けて試算した。
6ケースのうち中間の成長率0・4%を標準ケースとした場合、今後100年間で給付と負担を均衡させるために、マクロ経済スライドを発動しなければならないのが29年度まで。このときの現役世代の収入は47万2千円。モデル世帯の年金額は24万円で、代替率は50・8%となった。
ただ、成長率が0・2%の場合、代替率は26年度に50・0%まで下降。マクロ経済スライドを発動しなければならないのは35年度までで、代替率は46・5%となる。成長率0%の場合は25年度に50・0%になり、40年度に44・5%まで低下する。成長率マイナス0・5%の場合は国民年金の積立金が枯渇し、36~38%程度にまで落ち込む。
厚労省は秋以降、制度改革の検討を本格化させ、来年の通常国会に関連法改正案を提出する方針だ。前回は平成26年6月3日に結果を公表した。今回は「老後に夫婦で2千万円の蓄えが必要」とした今年6月の金融庁審議会の報告書で年金問題が注目を集めたため、公表を参院選後に先送りしたとの見方がある。
引用先/産経新聞社 令和元年8月27日より
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年金、現役収入の5割維持 財政検証公表、経済成長が前提
村田社会保険労務士事務所
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