ワクチン休暇に奨励金、企業「仕事気にして先送りにしないで」…副反応にも配慮

新型コロナウイルスのワクチンの接種に向けて、企業が従業員のために「ワクチン休暇」を設ける動きが出ている。働く人が接種を受けやすい環境を作ることで、接種が迅速に進むことが期待されている。一方で、様々な事情から接種を受けない人たちが不当な扱いを受けないような配慮も求められる。

■休暇制度

「コロナ禍で業績にも影響が出ている。一刻も早い収束のためにも、希望する社員が安心して接種を受けられる環境を作りたい」。大阪市東成区のインキ製造会社「久保井インキ」の久保井伸輔社長は話す。

同社は、接種を受ける従業員に、特別有給休暇の取得を認めることを決めた。予約が集中する土日・祝日ではなく、平日に接種を受けられるようにするのが狙いだ。接種を受けた従業員には、奨励金1万円も支給するという。

日本生命保険も、従業員が接種当日に特別有休を取得できるようにした。副反応を理由に休む場合にも、接種翌日ならば休暇を認め、給与が減額される「傷病欠勤」扱いにしないという。担当者は「仕事や有休の都合を気にして、接種を先送りすることのないようにしてほしい」と話す。

コカ・コーラボトラーズジャパンは15日、パートやアルバイトを含め、従業員が就業時間中に新型コロナワクチンを接種することを認めると発表。副反応が出て働くのが難しい場合は、その日を特別有休にできるほか、翌日以降に体調不良になれば、特別有休を1日、取得できるようにした。

■政府も前向き

日本国内では現在、医療従事者と高齢者を対象にワクチンの優先接種が行われており、田村厚生労働相は27日の閣議後記者会見で、基礎疾患を持つ人や一般国民への接種は「7月中に始める地域も出てくる可能性がある」と述べた。

日本の新型コロナワクチン接種は世界各国に比べると遅れており、英オックスフォード大などによる「アワー・ワールド・イン・データ」の集計(26日時点)によると、2回の接種を終えた人の総人口に占める割合は、イスラエルが58・64%、米国28・67%、英国19%――に上る。これに対し、日本は0・73%にとどまる。

厚生労働省研究班が医療従事者を対象に実施している健康調査の中間報告によると、接種翌日に痛みや倦怠(けんたい)感などの症状が出た人は多い。2度目の接種を受けた約1万7000人の6%が、接種後に「勤務を休んだ」と報告したという。

政府も「ワクチン休暇」の普及には前向きだ。河野行政・規制改革相は3月のインターネット番組で、従業員が接種の際に休暇を取得できる環境整備を経済界に求める考えを示した。

引用/読売新聞 令和3年4月28日

村田社会保険労務士事務所

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